テーマ:瑠璃子

七本足の蜘蛛   瑠璃子

     エッセイ      七本足の蜘蛛      瑠璃子 2007年エッセイ賞優秀賞受賞 「しかしこれもまた真実である」  作家ティム・オブライエンは短編小説『死者の生命』でつづっている。 「お話しは我々を救済することができるのだ。私は四十三歳で今では作家になっている。それでもなお、今まさにこうして、私は夢の中でリンダを生…
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テツオ   瑠璃子

短編 テツオ 瑠璃子  ミツ子叔母は、私の母の妹で小田原に住んでいる。フリルのついた薄手のブラウスが好きでいつも着ている。熱い飲み物が苦手で、紅茶もコーヒーもカップを両手で包んでゆっくり冷ましてから飲む。前歯に息を当てる感じで小声で話す。色白で小柄。肉の薄い背中を絶えず恥ずかしそうに丸めている。叔母を見ると、私は小学生のとき飼って…
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幽霊  瑠璃子

短編 幽霊 瑠璃子 第2回山崎賞・最優秀賞受賞 2005年度エッセイ賞最優秀賞  高橋正友は大正十四年、横須賀の逸見に生まれた。  父、晋平は海軍大尉。母、つねは父の家に住み込む奉公人だった。彼女は日に焼けた田舎娘で、笑うと前歯が一本抜け落ちていた。家人はもちろん、二人の仲に眉をひそめた。けれど、つねの開け広げな性格や働き…
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エッセイ  イブスキのお兄さん  瑠璃子

エッセイ イブスキのお兄さん 瑠璃子  その頃、多摩の一連の開発とともに、町田では大がかりな宅地造成が進んでいた。樹木は切り倒され、田畑は埋められて、焦土のようになった土地にカーポート付きの洒落た家が建ち並んだ。町田第五小学校には、二種類の生徒がいた。都心から郊外の新居へ越してきた裕福な家の子どもと、その子らが発散する華やかな…
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