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zoom RSS 戯曲「たばこと蛇口」 佐々木峻 二松学舎大学

<<   作成日時 : 2015/01/31 21:48   >>

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「たばこと蛇口」

佐々木峻
二松学舎大学 212A1256



男1  出なかった。

男2  何件目。

男1  3件目。

男2  この時間だからな。

男1  火ある。

男2  マッチ、ライター。

男1  ライター。

男2  ほれ。

男1  ありがと。

男2  つかない。

男1  うーん。

男2  風強いな。

男1  そうだな。ありがと。

男2  いえ。

男1  ライターよりうまい。

男2  気のせいだよ。

男1  本当だって。

男2  まあ、何となくわかるけど。

男1  匂いが違うよな。

男2  まあまあ。

男1  うまい。

男2  ハイライト。

男1  そう。

男2  蛇口を思い出す。

男1  蛇口。

男2  寮にあるやつ、一階の。

男1  その蛇口がどうした。

男2  夜に俺を誘ってくる。

男1  どういうこと。

男2  蛇口の水がお母さんを呼んでいる。

男1  わからないよ。

男2  夜中、たまにその蛇口から一滴、一滴水がこぼれを落ちる。

男1  どうしてわかる。

男2  音がする。

男1  部屋にいても。

男2  そう、ポタリ、ポタリって。

男1  ほお。

男2  その音がだんだんお母さん、お母さんとすすり泣きに変わる。

男1  火ある。

男2  それを聞くと水と一緒に排水溝に流されそうになる。

男1  するとどうなる。

男2  わかんない。

男1  そっか。

男2  いいような。嫌なような。

男1  そっか。そっか。

男2  腑に落ちない。

男1  ふーん。

男2  そういうことない。

男1  あまりない。

男2  そっか。

男1  よくわからん。

男2  口内炎。

男1  むずむずしてきた。

男2  何の話だった。

男1  うーん、忘れた。

男2  そっか。

男1  魚卵みたいだな。

男2  何が。

男1  何でもない。

男2  気になるな。

男1  意味は無いよ。

男2  ふーん。

男1  はぁ。

男2  お腹すいたな。

男1  頂戴。

男2  はいよ。

男1  しずかだな。

男2  うん。

男1  気味が悪いな。

男2  何が。

男1  ほれ。

男2  ああ、なんで。

男1  今寝ているだろ。

男2  まあそうだね。

男1  昼は蟻みたいたくさんいるのに。

男2  今は誰もいない。

男1  箱の中でじっとしている。

男2  朝早いんだよ。

男1  行儀よく並んで悪い事を考えているみたいじゃないか。

男2  薄情者の集まりなんだよ。

男1  馬鹿ばっかりだ。

男2  そうだな。

男1  帰りたい。

男2  吸う。

男1  いや、いいや、まだある。

男2  何それ。

男1  これ。

男2  そう。

男1  この前、拾った。

男2  どこで。

男1  映画館。

男2  あそこだろ、ポルノの。

男1  違うよ。

男2  嘘つけ、上野だろ。

男1  違う。

男2  不忍池の近くの。

男1  あの小さいところ。

男2  そう、そこだろ。

男1  違うよ、違う、違う。

男2  なんで隠すの。

男1  渋谷の方だよ。

男2  ふーん。

男1  まあ、いいだろ、どこだって。

男2  きれいだね。

男1  だろ。

男2  どこのやつだろ。

男1  自転車とかだろ。

男2  人妻が乗るやつ。

男1  ノラ。

男2  かっこいいと思っている。

男1  他にももっといるだろ。

男2  小学生。

男1  膝が汚い小学生。

男2  鼻水垂らした小学生。

男1  サドルってなんかな。

男2  人妻。

男1  欲望が向かっていく感じ。

男2  まあわかるけど。

男1  自転車が勃起している。

男2  ははは。

男1  いらねえや。

男2  あらら。

男1  さむいな。

男2  さむいね。

男1  明日何時から。

男2  昼、1時。

男1  ゆっくりできるね。

男2  雨らしいよ。

男1  ふーん。

男2  あ。

男1  しみになるな。

男2  大丈夫だよ。

男1  目立つね。

男2  明日は。夕方。

男1  そう。

男2  そっか、で、このぐらい。

男1  そう。

男2  大変だね。

男1  もうなれたよ。

男2  え。


男と女の声が聞こえる。

女   いっそのことこの子とあたしを殺しなさいよ。

男   落ち着け。

女   畜生、甲斐性もないくせに。戻って来なくたって誰もあんたのこと待ってやしねえよ。いつものように殴りやがれ、さあ、はやく、はやく、殴りやがれ、畜生。肉団子。

男   黙れ。

女   殺せば済む話じゃないか。邪魔なんだろ。 女と寝ることと女を殴ることしか能が無いくせに、上品ぶりやがって。脳みそ金玉。男のくせにぐちぐちうるさい。殺せ、殺せ。

男   やめろ。

女   あのとき頭をさげていったろ。父さんや母さんに幸せにしますってどの口で言ったんだよ。人の頭ばかり殴りやがって。兄さんにも殴られてこと無いんだよ。

男   落ち着け。

女   もう無理だ。

男   やめろ。

女   てめえひとりで一人前面すんじゃなねえ。

男   やめろ、やめろ。

男1  もらっていい。

男2  はい。

男1  いる。

男2  もらおうかな。

男1  おう。

男2  あ、ごめん。

男1  大丈夫だよ。

男2  サンキュー。

男1  火。

男2  おう。

男1  いいね。

男2  ハイライトうまいね。

男1  だろ。

男2  静かだな。

男1  だな。

男2  何してんの。

男1  ん。

男2  ちょっと、ちょっと。

男1  ん。

男2  それはまずいよ。

男1  大丈夫、明日は雨だから。



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