山崎哲_ひと・こころ・からだ

アクセスカウンタ

zoom RSS 短編「ある親子」(仮題) 佐々木太一 (二松學舍大学) 

<<   作成日時 : 2014/11/30 03:18   >>

トラックバック 0 / コメント 0

画像


短編
ある親子(仮題)
佐々木太一
二松學舍大学 212B2229



私たち親子は呪われた時代に生きてしまいました。
貧しい生活の中で図らずも産んでしまった子は身体も弱く、この過酷な環境で生きていくのは難しいでしょう。
しかもこの街で最近は何やら不気味な、風邪に似た病がはやっているそうです。
私には大した学はなく、もしもが病気にでもかかってしまったら助ける術を持ちません。
できるだけ気を使ってはいますが流行病という事はいつこの子がその病気にかかってしまってもおかしくないのです。
またこれも噂ですが、この病はなんでも空気が汚れているとかかるらしいです。
私はできるだけ空気の滞ったスラム街を抜けて大きな通りを抜けて川の近くに行くようになりました。

そんなある日、道を歩いていると道端で両手が真っ黒になって死んでいる人を見かけ、何があったのかと聞いてみると流行病で亡くなったそうです。手が黒ずんできたら危険なそうなので私たちも注意しなければなりません。
私は子供が風邪をひかないようにネズミが住処代わりにしていましたが厚手の布で包みました。

それから二、三日後、私はスラム街を抜けて川まで行こうと薄暗い道を歩いていた時、その途中で後ろから声をかけられました。
「すみません、奥さん」
カラスのようなお面をして杖を持ち、革のガウンを着た怪しい風体の男の人に呼び止められたのです。
私はその風体を不気味に思い、思わず後ずさりしてしまい、もうそのまま走って逃げようかと思ったのですが足がうまく動かずに逃げれませんでした
「失礼。驚かしてしまったようですね。ですがそんなに怖がらなくてもいい。別に私はあなた方に危害を加えるつもりはありません」
不気味な男はくぐもった声で私たちにそう言うが、彼の後ろでは彼と同じ格好をした人たちが街の人血を抜いて桶に貯めているのです。
「ああ、あれですか。あれは別に気にしなくても大丈夫ですよ」
大丈夫なわけがあるはずありません。人からあんなに血を抜いて平気なわけはない。人によってはカエルをあてがったりしている人までいる。
尋常ではなく正常でもない。
「安心してくださって、我々はただの医者です」
カラスの仮面はそう言ってさらにこちらに近づいてきて杖を向けてきたのです。
私は後ろを向いて急いで走り出そうとまししたが、うまく走れなくてヨタヨタと不格好な形で走ることになりました。
男は私のことを追おとしたが、後ろにいる仲間に呼ばれて私たちを追っては来ませんでした。
無様な走り方になってしまい我が子を抱きかかえたまま何度も転んでしまいましたが、必死に遠ざかりました。
あれは絶対に医者などではない。あれは悪魔の手先に違いありません。
私は物陰に隠れながら悪魔の手先たちに見つからないように移動しました。

数日後、熱っぽく、身体の自由が利かなくなってきて不安になり自分の両手を見た後、赤ん坊の手も見てみるが汚れ以外で黒ずんでいるところは特にないので少し安心しました。
私は隠れるのをやめて今まで通りに道を歩き、食べ物を貰う事にしました。
しかし今日の街の様子は少しおかしかったです。所々に不自然な人だかりができていたました。
気になって近寄ってみるとなんとあのカラスの仮面を被った悪魔の手先たちが杖で
街の人たちをついていました。
私は恐ろしくなって、ほかの人だかりも見てみましたがその輪の中心はどれも悪魔の手先たちでした。
「おや、奥さん。体調悪そうだね。少し診てあげようか」
近づいたときに悪魔の手先に気づかれてしまい前とは違う声色でしたが、それでもやっていることは同じです。
返事はせず、私はただ振り返ってその場を後にしました。
しばらく道を歩いていると段々意識が朦朧として来て走れなくなってきました。
私はこれ以上走れないと感じて道端まで行き倒れこみました。
私は赤ん坊の白い頭にキスをして意識を手放したのです。

十四世紀のヨーロッパでの出来事でした。



※作品は講義「小説作法実践」で課題自由に沿って書かれた400字5枚の短編です。

文章の美しい素晴らしい作品です。受講生は大いに参考にしてください。

※読みやすいように私・山崎が改行を施しています。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
短編「ある親子」(仮題) 佐々木太一 (二松學舍大学)  山崎哲_ひと・こころ・からだ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる