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zoom RSS 熊本2 漱石「草枕」の舞台の金峰山へ

<<   作成日時 : 2014/09/22 17:24   >>

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9月20日、
漱石の「草枕」(1906)の舞台になっている金峰山へ
朝日の記者星賀亨弘さんと一緒にちょこっと足を伸ばした。

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熊本城から見た金峰山。(他サイトより)

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タクシーで金峰山へ向かう。(車の中から撮る)
繁華街から15分ほどの距離だったかな。

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金峰山への入口あたりにある「岳林寺」。

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目指す「峠の茶屋」へは右の道を上る。

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岳林寺の門の右手付近にある小さな神社。

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右手の道を上ると左手に岳林寺の墓地が見える。

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更に坂道を上り、岳林寺を振り返る。

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道の右手は溝。草の命が嬉しい。

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漱石はこの道を歩いて登ったんだ、と感動したのち
私らは引き返してタクシーで登ることにする。

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山頂には放送送受信塔がいっぱいある。
全国に向け競って私の漱石の「草枕」を流しているものとみえる(笑)。

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金峰山神社に到着。
鳥居をくぐると山頂に至る登山道がある。

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鳥居の前にある休息所。
おじさんたちは元気だ。私は無理。

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おじさんたちの背中にエールを送る。私の分まで頑張ってと。

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右手に竹林のある小路を抜けると、

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左手下に「峠の茶屋」があった。

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茅葺である。
間違った。こっちは裏手のようだ。

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なに、構うものか。と、裏手から茶屋に降りる。

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いい風情だ。

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俺がいる。違った。漱石がいる。

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい」
(「草枕」冒頭)


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下に降りる道があったが、時間がないので茶屋だけに。

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「峠の茶屋」

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「おい」と声を掛けたが返事がない。

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軒下から奥を覗くと煤けた障子が立て切ってある。向う側は見えない。
五六足の草鞋が淋しそうに庇から吊されて、屈托気にふらりふらりと揺れる。
下に駄菓子の箱が三つばかり並んで、そばに五厘銭と文久銭が散らばっている。


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「おい」とまた声をかける。
土間の隅に片寄せてある臼の上に、ふくれていた鶏が、驚ろいて眼をさます。
ククク、クククと騒ぎ出す。敷居の外に土竈が、今しがたの雨に濡れて、半分ほど色が変ってる上に、真黒な茶釜がかけてあるが、土の茶釜か、銀の茶釜かわからない。
幸い下は焚きつけてある。


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返事がないから、無断でずっと這入って、床几の上へ腰を卸した。
鶏は羽摶きをして臼から飛び下りる。今度は畳の上へあがった。
障子がしめてなければ奥まで馳けぬける気かも知れない。
雄が太い声でこけっこっこと云うと、雌が細い声でけけっこっこと云う。
まるで余を狐か狗のように考えているらしい。


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床几の上には一升枡ほどな煙草盆が閑静に控えて、中にはとぐろを捲いた線香が、日の移るのを知らぬ顔で、すこぶる悠長に燻っている。
雨はしだいに収まる。
しばらくすると、奥の方から足音がして、煤けた障子がさらりと開く。
なかから一人の婆さんが出る。


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どうせ誰か出るだろうとは思っていた。
竈に火は燃えている。菓子箱の上に銭が散らばっている。線香は呑気に燻っている。
どうせ出るにはきまっている。しかし自分の見世を明け放しても苦にならないと見えるところが、少し都とは違っている。
返事がないのに床几に腰をかけて、いつまでも待ってるのも少し二十世紀とは受け取れない。
ここらが非人情で面白い。その上出て来た婆さんの顔が気に入った。


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二三年前|宝生の舞台で高砂を見た事がある。
その時これはうつくしい活人画だと思った。
箒を担いだ爺さんが橋懸りを五六歩来て、そろりと後向になって、婆さんと向い合う。
その向い合うた姿勢が今でも眼につく。余の席からは婆さんの顔がほとんど真むきに見えたから、ああうつくしいと思った時に、その表情はぴしゃりと心のカメラへ焼き付いてしまった。
茶店の婆さんの顔はこの写真に血を通わしたほど似ている。


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「御婆さん、ここをちょっと借りたよ」
「はい、これは、いっこう存じませんで」
「だいぶ降ったね」
「あいにくな御天気で、さぞ御困りで御座んしょ。おおおおだいぶお濡れなさった。今火を焚いて乾かして上げましょ」
「そこをもう少し燃しつけてくれれば、あたりながら乾かすよ。どうも少し休んだら寒くなった」
「へえ、ただいま焚いて上げます。まあ御茶を一つ」
と立ち上がりながら、しっしっと二声で鶏を追い下げる。
(「草枕」より)


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あの山の向こうに実はもうひとつ「峠の茶屋」がある。
「草枕」に出てくる茶屋はこの茶屋と向こうの茶屋を掛け合わせて
描いているらしい。

小天温泉は向こうの茶屋をすこし下ったところにあり、
行けば宿の若い奥様・那美に逢えそうな気もするが
あいにく今日は急ぎ旅。
泣く泣く今度にすることにして今日は山を下りたのだった。

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