山崎哲_ひと・こころ・からだ

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zoom RSS 四谷シモン展 横浜のつぶやき

<<   作成日時 : 2014/06/25 16:32   >>

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22日(6月)、
四谷シモンの人形展が開かれている
横浜そごう美術館へ行った。

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足は、自家用車。
ナビのせいで高速を降りたあと迷う。

同じ迷うなら自分の目で迷ったほうが余程ましだ。
迷いを楽しめるから。ナビくん、君やめようかな(笑)。

横浜そごうに入る。
なんだ、目の前のこの汚い川は(笑)。

6Fへ上がる。
もの(商品)が溢れて息苦しい。
生きる上で必要のないものばかりだ。燃してしまいたい。

受付に到着。
入場料1000円。異常だ。安すぎる。

演劇が異常に高すぎるのか。演劇よ、くたばれ。
ああ、
私の思ってることは20代のころとなにも変わってないな(笑)。

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フロアに入る。

歩く。立ち止まる。歩く。立ち止まる。

立ち止まる立ち止まる立ち止まる。

まずい、やばい、と警戒する。
四谷シモンの人形を盗んで逃げたくなるからだ(笑)。
いつも不埒なその自分との闘い。なので立ち止まるたびに疲れる。

シモンさんは私の舞台を観ると疲れると言うが、
私だって四谷シモンの人形を見ると疲れるのだ。

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私の超お気に入りのお人形さんだ。

81年/83年。もうそんなになるのか。なるわな。
はじめて見たのは紀伊国屋の画廊? 憶えてない。

触るな?
じゃ抱きしめるのは構わないよな。やばい。

撮影禁止。バッグの中のカメラを手に取る。
撮影禁止。ケチ。ま、いいか。写真持ってるし。

しかし写真持ってない人形はどうする?
考えるだけで疲れる。盗んで逃げたほうが楽だ(笑)。

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この目にやられる。どの人形も同じ。

人形は盲目だ。なにも見ていない。見えていない。
なのにすべてを見ている。見る者も、見る者の背後の世界も。
すべてが見えている。

どうしてそうなるのかわからない。どうしてそんなことができるのか。
ただ願わくばこうなりたい、こうありたい。と、いつも思うだけ。
透き通りたい、と。

世界が平和を取りもどす方法はひとつしかない。
すべての人間の目を潰すことだ。
目はただ欲望を映し、その欲望を無限に拡大するだけ。
またつまらんことを考えはじめる。

そうだ。この子を盗み出して、お手々つないで
トコトコと二人で通りを歩いてみるとわかるかもしれない。
なにが? だからなにかが。

私の欲望はじつにちっぽけだ。
だから頼む、そこの係員、見逃してくれないかな、
この子と逃げだすのを、ここを(笑)。

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シモンさんは、1体つくるのに約1年の時間を費やすという。
1年。10月10日。
女性がこの世に子を生み出す時間と同じだ。

演劇は? 
1本の舞台をつくるのにせいぜい長くて半年、短くて2週間。
演劇よ、くたばれ。どうだっていいか(笑)。

などと、またどうでもよいことを考えながら、私は待つ。
そこに立ち止まってただじっと待つ。
この子が「ふ」と小さな息をする瞬間を。

四谷シモンのつくる人形は息をする。
私が息をしたら消えかねないほどの小さな、かすかな息を。
その瞬間を私はただじっと、待つ。待つ。待つ。待つ。

それが私が四谷シモンの人形を見る動機のほとんどすべて
なのだから。

その至福の時間を私に与えてくれるのは、
もう四谷シモンの人形くらいなものだ。

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チラッと真希(石川真希)が睨む顔が見えた。
ごめん、真希もいた。

真希はこの人形と同じだ。
沈黙が美しいことを知っている。沈黙だけが美しく、
そして沈黙だけが世界を感受できる術であることを。
木内みどりさんもそうだった。

「しっ、息をしないで。息をすると壊れてしまうから」
「ガラスの動物園」のローラ。
真希も木内さんもローラなんだよな。
男はだめ。男でそれのわかる俳優はいない。

大久保鷹さん?(笑)

あ、大久保さん、頼むから動かないで。息しないで。
そのまま。5分、そのままじっとしてて。せめて3分!

「漱石の道草」をやった時だ。

と、それを観てシモンさんが言った。
「大久保のこんな芝居はじめて観た。凄い。月形龍之介だ」
月形龍之介には笑ったなあ。久しぶりに大笑いした(笑)。

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五反田なあ。
蓮司さん(石橋蓮司)と同郷か。

蓮司さんはたしか畳屋の倅で、
それがいやで自称「浜っ子」(横浜っ子)になったんだっけ?(笑)

父はタンゴの楽師、母はダンサー。芸能一家。
幼いころ、不在がちな両親に人形を与えられ、人形と過ごした。

ピーコさんもそう言ってたな。
幼いころから人形に囲まれ、人形と遊んで暮らしていた、と。
ピーコさん、元気でやってるかなあ。

シモンさんは、人形は魂の容れものだと言っている。
人形の立場からすると、人間の魂を受容する、
この世界のすべてを受容するってことになる。

人形。受容。つまりは母、母胎。

四谷シモンは、今風に言えば半ば遺棄された子供で、
人形を母親代わりに過ごしたってことになるのかな?

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「天使-澁澤龍彦に捧ぐ-」(1988)

澁澤龍彦の書いたものを読み、球体関節人形と出会う。
人形はかたち、そして関節。
関節。骨組み。木枠の少女の誕生。

シモンさんは、人形の起源について、
「水溜まりに映った私」ではないかと言ってる。
水溜りに映った自分の姿を見てひとは人形を作りはじめた
のではないか、自分に形を与えるために、と。

そこから自分のつくる人形は「ナルシシズム」だと語る。

水溜りに映る自分の姿を見る。
分析学的に言うと「鏡像段階」。

水溜まりに映る姿を見て、ひとはそれを自分だと認識した。
ひとはそのときはじめて「ひと」として現れた。

幼い四谷シモンが遊んだ人形は、
母であると同時に水溜まりだったことになるのかなあ。

人形=水溜まり(受容する鏡)に映る自分を自分だと認識したとき、
四谷シモンはその自分にかたちを与えたくて
人形をつくりはじめた。

水溜まりに映る自分を
この世界に立ち上がらせるにはどうすればいいのか。
そのとき四谷シモンは関節関節人形に出会った。

関節。骨組み。立ち上がる。歩く。立ち止まる。歩く…。

身体の軸を骨組みとするのは西洋的な身体観で、
アジアは、身体の軸は水=液体だと考える。
と言ってたのは土方巽さんだったっけ? 忘れた。

トシをとるとドンドン忘れるよな。いいことだ(笑)。

いずれにしろ、
10歳のころから人形をつくりはじめたのは、
ひとりで自分を立ち上げらせなければいけない
環境に置かれていたということかも。

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「目前の愛1」(1995)

澁澤さんが亡くなったあと、
シモンさんのつくる人形に「天上もの」が現れる。
関節からはじまったシモンドールに翼が生まれ、
天上へと飛翔していくのは、ある意味、必然かな。

が、この飛翔は同時に落下を目指してるとも言える。

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<未完なるもの>「木枠で出来た少女3」(2000)

ほかの子たちはみんな立っているのに、
この子たちだけは未完のまま、床に横たわっていた。
地面に放置。

ひどい。
私に持って帰れってことかな? 喜んで。
と、手を伸ばすと係員が私をギロリと睨む(泣)。

未完のお人形さん。
はじめて人形に映って見えた、幼い四谷シモン。
あるいは、古代、死者とともに埋葬された人形。土偶。

「天上なるもの」の鏡像として
この子たちが四谷シモンの胸を去ることはないのだ。

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自画人形「ナルシシズム」(1998)

いくらなんでも美しすぎる! 

と思うが、しようがない。
ほんとに美しいんだもの、実物が(笑)。

前にも書いたが、四谷シモンはただひたすら美しい。
困ったことに、なにが困るのかわからないが、
年々美しくなる一方なのだ。

このままだといずれ、
お人形さんにつくられたお人形さんになってしまうに違いない。
たぶんシモンさんもそれを望んでいるのだろう。

「それが私の特権よ」
というシモンさんの声が背後から聞こえてくる。

ふん(笑)。しかし、
よくこの顔で「船頭小唄」や「人生の並木路」歌うよなあ
と、私は笑う。

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唯一、撮影が許された場所。

お人形さんたちに当てる光、もっと明るくしてほしい。
でないと私がやるよ、レイアウト。

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会場を出て、妻へのみやげに本を買う。
じつは妻も四谷シモンの大ファンなのだ。私が教えた訳ではない。

彼女がまだ20歳そこそこの学生のころ、
ある時、茶髪のロングヘアで稽古場に現れた。
驚いて、なんだその不良髪はと怒鳴ったら、
「私はシモンドールです」と言ったのでズッコケたものだ(笑)。

なんだ、横浜の中央を流れるこの汚い川は。
四谷シモンの人形の前でよく流れていられるな。
それじゃひとの顔も映せねえだろう(笑)
と毒づき、車に乗る。

ナビ君は帰りも役に立たず、首都高で迷う。
結局、新木場で降りて6号を北へ走る。
が、とても気分爽快だった。


※7月6日まで、横浜そごう美術館(横浜駅東口)で開催しています。
お近くの方、遠い方もぜひ足をお運びください。
ほんとうにステキですよ、シモンドールは。

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※チラシ裏。
※写真、いくつか本から転載させてもらいました。すんません。


●Takio Sugawara さん
せっかくご招待いただいたのに、
その日に行けなくて申し訳ありませんでした。
6月のはじめころまで少し体調を崩していたものですから。

●四谷シモンさん
つまらぬコメントでごめんなさい。

「テッチャンありがとう。シモンで〜す。」というコメントに
私の友人がびっくりしていました。
あの天下の四谷シモンさんが「で〜す」とは、と。(笑)
私もおおいにびっくりして、
「いや、あれはおそらく誰かが四谷シモンの名を借りて…」
と、ヨロヨロと与太りながら釈明した次第です(笑)。

●sinoさん
sinoさん、いつもありがとう(笑)。

ありがとうございました。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
哲さん、ステキな感想、どうもありがとうございます。
Takio Sugawara
2014/06/26 11:56
テッチャンありがとう。シモンで〜す。
四谷シモン
2014/06/26 22:14
シモンさんは、てつさんの名言「本物は着飾らない」まさに、その人なんだな〜と、別の意味で嬉しくなりました。

テッチャンいつもありがとう。sinoで〜す。・・・(笑)   (過不足なく親しみが伝わる言葉ですね。言ってみたくなりますよね。)
sino
2014/07/05 09:57

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